第2章 全ての始まり
第二話「知らない街と新しい兄弟」
眩しい太陽の光で、桜は意識を取り戻した。
まだ覚醒(かくせい)しきれていない頭で、今まであったことを思い出す。
桜は立ち上がり、辺りを見回すが、彼女がいつもの見慣れた光景はそこにはなかった。
「ここ、どこだろう……」
見たこともない風景に不安を掻き立たれ、桜はうつむく。
そして彼女は自分の首に、あのペンダントが掛かっていることに気づいた。
「な、何でこれがっ? 返したはずなのに……」
頭の中に窃盗という文字が浮かび、桜は焦って交番を探す。
しかし見慣れない街で地図もない状態で探すのは難しく、しばらく探したか交番は見当たらない。
「どうしよう……」
「ああ、こんなところに居たんだね」
「へっ……?」
桜が困り果てていると、誰かが後ろから声を掛けてきた。
桜は不思議そうにして振り返り声の主を見る。
彼女の目の前には、赤い髪に赤と橙のオッドアイの少年が立っていた。
見た目は十代後半で、口元が僅(わず)かに上がっていた。
「貴方は……?」
「僕は赤司征十郎。訳あって君の義兄(ぎけい)になることになったんだ」
「ええっ!? ど、どうしてですか?」
「またその内話してあげるよ」
いきなり見知らぬ人に義兄になると言われ、桜は混乱して問い掛けた。
しかし赤司は答えることはなく、誤魔化して流す。
「それより君に紹介したい人達がいるんだ、少しついてきてくれないか? さっきのことについてはそこで話す」
「わ、分かりました……」
桜は自分を落ち着かせながら了承し頷く。
赤司は了承を得ると歩き出し、桜は慌ててその後ろをついていった。