第11章 『プロ』として
「っ…」
ビッチ姉さんは悔しそうに下を向いている。
(そんなに殺せんせーとの差を縮めたいのかな…?)
「でもあんたたちも、元は生徒だったのに…いきなり殺し屋やることになったんでしょ?」
「…はい」
そこに関しては否定できなかった。
「実は…さっき殺せんせーと話してたときに殺せるビックチャンスがあったんですよ」
私はえへっとお茶目に笑って見せる。
「でも…殺せなかったんです…」
「??なんでよ」
ビッチ姉さんは素で言っているのだろう。
「…殺せんせーが、私の信頼している人だからですよ」
「…なるほどね」
「だから、人それぞれ個人差があるんです…私みたいに殺したくないって思う人や、殺す勇気がない人、赤羽くんみたいにナイフを軽く振れる人」
私は少し悲しくなった。
「でも…きっとE組の人たちはほとんど軽くナイフを振れるんですよ…」
そう、いつまでもウジウジしているのはきっと私だけだ。
でも…
「でも…私はいつか殺せんせーにナイフを向けられるように頑張ります!!」
私はニコッと笑ってみせた。
「あんた…名前は?」
「え…?」
「名前」
私はその返しは全くもって想像していなかったので、固まってしまった。
「…っ市ノ瀬 望乃です!!」
「…そろそろ授業が始まるころでしょ…教室に戻りなさい…」
「はいっ」
私はそう言って教員室から出た。
「市ノ瀬さん」
そこには烏間先生が立っていた。
「烏間先生…!」
「ありがとう、あいつが正直改心してくれるか不安だったんだが…おかげであいつは確実に改心してくれるよ」
「…はい!」
「それじゃ」
そう言われ、私は烏間先生にお辞儀をして教室に戻った。
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~教室~
「あ!ののちゃん!」
扉を開けるとカエデが走って私の方へ来た。
「どこ行ってたの?!探したんだからねっ?!」
「うん、ごめん。もう授業始まるし、席着こ?」
私はカエデを席に着くように言った。
「もぉ!次どっか行くときは私にも声かけてよ?!」
「はいはい」
そう言って私も席に着いた。