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【暗殺教室】ドSカルマくんとの暗殺生活

第8章 死んじゃったら悲しむ人がいる


今まで辛いこと、悲しいこと。
そんなのは星の数ほど経験してきた。

でもこんなに、こんなにたくさん、たった1人の人のことで悩み、苦しみ、泣いたことなんてあっただろうか?

答えはNOだ。

今まで大抵のことは自分の心を乱さずに解決してきた。

しかしそれはあくまで『今までは』の話だ。

今、たった今、それが覆された。


――「もう2度と、ののちゃんに近づかないよ…」――


そう言われた瞬間私の口は考える前に動いていた。

「ヤダ!!絶対ヤダ!!」

「っえ…?」

自分でも何を口にしているのかと思う。

それでも私の口は止まらない。

「ふざけないで!!人の…人の気持ちをさんざん振りまわしておいて何それ!!」

「な、何って…」

「人がこんなに…こんなに…!」

続きを言う前に私の呼吸は乱れ、ゴホッゴホッと咳をする。

「の、ののちゃん?!大丈夫?!」

肩を触れられて心臓が飛び上がる。

(もう…もう限界だよ…)

私は涙で目を真っ赤にしながら赤羽くんの目をまっすぐ見る。

「…赤羽くん」

急に名前を呼ばれ、赤羽くんは動揺しながらもこちらに視線を合わせる。

「好き。」

私はまっすぐと目を見て赤羽くんの袖を握る。

赤羽くんは驚いているようで目を見開いている。

私は少し間を置き、ゆっくりと袖から手を離す。

「それだけだから…」

私は早くこの場から離れたい一心で足早に去ろうとした。


すると

後ろから温かい何かに身体は包み込まれた。

「・・・っえ?」

「勝手に逃げようとしないでよ…」

声を聞いてその温かい何かの証態がわかった。

赤羽くんだった。

「俺だってさっき逃げたかったけど逃げなかったんだよ?」

体と体の距離は0cm。

耳と口の距離は3cm。

思考が追いつかない。


いま
わたしは
赤羽業に
抱きしめられている?


私は混乱しながらもその答えまで辿り着いた。

「俺もさ…」

また3cmの距離で囁かれ、とても鮮明に聞こえる。

「ののちゃんのこと、好きなんだよ?」


その音は、今までのどんな音より大きく、鮮明に聞こえた。
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