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シンデレラと白雪姫

第2章 Believer


「そんなら京都に行きましょう。今国を動かしているのは女王と大臣…一説によると女王と大臣は恋仲らしいですね」
「…シンデレラ、お前さん12年間外界へ出ておらんのになんでそんなことがわかるんじゃ?」
髭の方が身長より長そうな小人のツッコミが入る。
するとシンデレラ、自分でもよくわからない、けど鳥たちがウワサしてるから。と明かすものだから白雪姫は床を叩いて大笑いし、会話不能に。お姫様の品格なんぞあったもんではない。
「クリスマスパーティはドレスコードさえきちんとしていれば誰でも城内に入れます。侵入しちゃいましょう」
知らぬうちに主導権を握られ、主役から転がり落ちた白雪姫はショックのあまり寝込んでしまったとか。

私の名前は白雪姫。ある日悪い魔女の毒リンゴを知らずに食べて倒れてしまって。もうだめだとみんなが諦めた時に王子様が現れて。王子様のキスで目覚めた私は王子様と………
「起きぃや白雪姫っ!!!あんたの妄想はええからさっさとせんか!アップルパイを作るん違ったんか?」
実はこの2人、協定を結んだらしい。滞在する代わりに料理を白雪姫に教えること。尤も本人は「目指せ玉の輿」だそうなのだが、どこかで「男を落とすには胃袋を掴め」という記述を見たらしく、シンデレラに交換条件を持ちかけたのだとか。
そして二人の料理の日々が始まった。

「で、何でこんなに面白いものが出来上がっているわけ?」シンデレラは冷蔵庫の中身が壊滅的だから途中で市場まで行って帰ってくると待っていたのは焦げて発がん物質を全身に纏ったアップルパイと、意気揚々とした白雪姫だった。
「さあさ食べて食べてー」
満面の笑みで言われてもそれだけは聞き入れられないわけで。シンデレラがブチ切れしたというのもまた別のお話。

「12年前の話、知ってるだけ聞かせて欲しいの」
シンデレラと白雪姫から真剣なお願いがあるの、とアップルパイを差し出されながら切り出された長老は躊躇していた。片や被害者の娘、片や被疑者の娘。尤も被疑者は被疑者ではないのだが。
「父さんをこのままで終わらせたくない。あの料理をまた味わいたいの…長老、お願いします」
長老の脳裏にある記憶が蘇る。
ーうちの娘は本当に面白いんや。マイ包丁でいきなり羊羹切ったと思ったらマッシャーで潰してアイスと混ぜて…創作料理しよったんや。先が楽しみやー
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