第4章 はつこい NO
コーチの合図と共に曲がかかる。
大野と呼ばれる人はさっきまでとはガラッと雰囲気が変わって...
髪を1度かきあげ静かに目を瞑った。
それはもう、目が離せなくなるような綺麗過ぎる姿で。
曲は決して激しくなくてゆったりと流れるバラード。
なのに、息を呑むような動き。
艶やかな表情に俺は鳥肌が立った。
男の人を初めて綺麗だと感じた。
曲が終わると一瞬静まりかえる空間。
そして巻き起こる拍手。
圧巻だ。
なんなんだ、あいつ......。
長い髪をかきあげてから振り向くその人。
他のジュニアとは明らかに違う。
そして、大野と呼ばれる人は何故か俺の顔を真顔でまた見てきて、.................、ちょっと間抜けな顔になっているであろう俺にふにゃりと笑いかけてきた。
トクン、トクンと胸が音を立てた。