第4章 はつこい NO
それから、俺たちは仲良くなった。
つっても俺が絡みにいくだけ。
「おーちゃんおーちゃん」
「んー?」
「帰りたいね」
「帰る?」
「怒られんじゃん」
「おれ帰れって言われて帰ったよ」
「さすがおーちゃん笑」
「だって、おれ悪くねえし」
大野智は俺より3つも年上な癖に先輩面しない。
おーちゃんって呼んだらなに?って笑いかけてくれる。
それに抱きついたら抱き返してくれてなんか可愛がってくれる。
それが嬉しくて堪んなくなる。
歌もダンスもジュニアの中じゃピカイチだ。
おーちゃんと一緒のレッスンの日は楽しみで仕方なかった。
なのに、おーちゃんはいきなり京都に行ってしまった。
おーちゃんがいなくなって怖い先輩ばっかり。
身長豆なのにむちゃくちゃ怒鳴るし、睨むし。
おーちゃんには弱い癖に。
はあ、おーちゃんに会いたい。
いつ帰ってくんの?
たまにテレビに映るおーちゃんはやっぱりダンスキレキレで、歌声も艶やかでキラキラしていた。