第8章 失われた記憶
「あの人誰......なの?」
「っユリ!俺のこと、分からねぇのか!?」
「......?」
ユリは首をかしげる。
「っユリちゃん......コイツは北山宏光、
君がこの数日間お世話になった人だよ......
わからないのか?コイツが誰なのか......」
「知らないの。」
「っ......」
(ユリちゃん、あんなに懐いてたのになんで......
しかも、アイツのことを"パパ"って......パパは、
北山のことじゃないのか?)
「っユリちゃん......本当にミツのこと、覚えてないの?」
「......。」
裕太の問に答えないユリ。
「っユリ......」
「......。」
宏光は翔のところにいるユリに歩み寄りしゃがみ込んだ。
「......これ、お前がさっき落とした合鍵......ユリ、
パク...
『......おい、しい......。』
『苺、もう無い?』
キラキラキラ
『......苺ッ!?』
『苺があればいい、なの。』←
このキーホルダーと同じ苺が好き......
だったよな?」
ユリにさっき拾ったネックレスを見せる。
「......。」
だがユリは何の反応も示さなかった......。
「っ......」
_フッ(嘲笑)「ユリ、彼はね......お前を預かってくれた恩人だ。
きちんとお礼を言いなさい(微笑)」
「......ありがとうございます、なの。」
丁寧にお辞儀をするユリ、まるでユリはロボットのようだった。
「「......っ」」
「っユリ......」
宏光達は呆然とするしかなかった。