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赤い吸血鬼と女の子 [黒子のバスケ]

第4章 恨み憎む男ー灰崎ー




「!」




ハッと我に返る

夢中で吸っていたせいか、
加減するのをすっかり忘れていた



いつも吸う量の2、3倍は吸ってしまっただろうか


そっと牙を引き抜いて口の周りや痕についた血を舐め取る




…死んでしまっただろうか


あんなに自信満々だったが
人間の致死量を遥かに上回る量だ


死なない方がどうかしてる



少しだけ胸がモヤモヤしているまま
俺は彼女の首筋から顔を上げた


次の瞬間、彼女は倒れるだろう



そして二度と目覚めない


肩に置いていた手を離した




その瞬間、彼女は支点を失って人形のように地面に倒れ






「…………っ、」


「(………な…)」




なかった




少しふらついてはいるものの、
彼女はしっかりと自分の足で立っている


首筋を手で押さえる彼女に俺は目を丸くした



…おかしい
何故だ



普通の人間なら確実に死んでいる


普通の人間でなくても
あんな量を飲んだのだ、死なない訳がない



それなのに、今俺の目の前に立つ少女は死ぬどころか倒れもしない



何が何だかわからなかった




驚きのあまり言葉を失っていると、彼女がゆっくり顔を上げた


そして、俺と目が合った瞬間に微笑んで
少しだけ自慢気に言った




「死ななかったでしょう?」


「…………、」


「私の勝ち、ですね」




まだ状況が理解できていない俺


でも少女はそんな俺にお構いなしに言った





「私と、お友達になってくれますか?」





優しい眼差しに、まっすぐに俺に向けられた小さな手








……俺にはもう、その手を拒む理由が見つからなかった



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