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赤い吸血鬼と女の子 [黒子のバスケ]

第4章 恨み憎む男ー灰崎ー





トサ、と地面に落ちた赤司さんの腕


辛うじて開かれていた瞳もゆっくり閉じられた




「…赤司、さん?」




呼び掛けても、赤司さんは動かない


目の前が真っ暗になるのと対照的に
頭は真っ白になった



……いやだ

いかないで




「いや…、いや!赤司さん!」




目を開けて


だって私、まだあなたの手を握れていない

まだあなたに伝えていない



お願い、赤司さん





「いやぁぁあっ!!」





目を開けて




泣きじゃくる私の周りで、
火神さん達も為す術なく立ち尽くしている


誰でもいい

何でもいいから



赤司さんを助けて






そう思った瞬間、前方から走ってくる足音が聞こえた



平静をなくした瞳で前を見ると、
テツヤさんがこちらに向かってきていた


その後ろに、青いローブを身に纏った小さな存在を引き連れて




「緑間君!連れてきました!」




テツヤさんはあっという間に私たちの前まで来ると、赤司さんの状況に気付いて立ち止まった



「…赤司君!」



慌てて駆け寄って変わり果てた姿の主人を見た途端、テツヤさんはその場にへなへなと座り込んだ



そんなテツヤさんの背中から、
深くローブを被った男性が前に出てきた



「これは…かなりやべぇ状態だな」




その男性が言った言葉に緑間さんが食いついた




「っ!どうにかならないんですか!虹村さん!
このままだと赤司が…!」


「そう慌てるな、大丈夫って」





大丈夫


その一言に、今度は私が食いついた




「助かるんですか?」


「吸血鬼つってやつは怪物の中でも格段に治癒力が高いんだ

だから、ちょっとやそっとの傷では簡単には死なねえよ」


「これがちょっとやそっとの傷に見えるんスか!!これが!」



黄瀬さんのごもっともな意見に、
虹村、と呼ばれた男性は少し真剣な顔になった




「だから言っただろうが
かなり危険な状態だ、って」


「…どうすれば、いいんですか?」




落ち着け、落ち着け


自分に言い聞かせながら指示を煽ると、彼は私をじっと見つめてからゆっくり口を開いた



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