【CDC企画】Pink Heart Balloonをあなたに
第3章 【リヴァイ】 You've Got A Mail
はやる気持ちを抑えながら、待ち合わせをしている公園へ向かう。
その途中、ブランコの所で一人の少女が泣いているのが見えた。
もうそろそろ日が暮れる。
しかし、まだ5歳ほどだろう少女の周りには、父親や母親らしき者の姿が見えない。
リヴァイはそのまま素通りすることもできず、仕方なく少女のところへ向かった。
「おい・・・何故泣いてる」
とても可愛らしい顔立ちをしているのに、その頰は涙で濡れている。
リヴァイが話しかけても反応は無かった。
自分の日本語がまずいのだろうか。
「泣くな、お前の両親はどこにいる?」
「ひっく・・・ひっく・・・」
何故泣いているのかも、両親がどこにいるのかも答えない。
どうしたものかと思っていると、リヴァイはピンク色の風船の存在を思い出す。
「おい、これをやる」
小さな手に風船を持たせる。
「ふうせん?」
その時、初めて少女は顔を上げ、漂うピンク色の風船を不思議そうに見つめた。
「ハートだ・・・かわいい・・・」
「ああ、そうだ。この風船はな悲しいやつを笑顔にするんだ」
「えがお?」
ふわふわの髪の毛を撫でる。
もし自分とサクラの間に子供ができたら、こんな柔らかい髪になるだろうか。
「なんで泣いてるのか知らねぇが、この風船をやる」
「くれるの?」
「ああ。きっといいことが起こる」
すると少女は微かに口元に笑みを浮かべた。
「ありがとう」
「いい子だ」
こんな可愛い子をいつまでも放っておく親などいないだろう。
残していくのは心配だが、サクラを待たせていることを考えるともう行かなくてはならない。
「じゃあな」
頭を撫でてから、若干後ろ髪を引かれるような思いはありながらもその場を立ち去った。