第2章 1時
物音のするキッチンへ向かうと、
《サンジ》と呼ばれていた人が料理を作っていた。
『………………』
柱の影からそっと見ていると、
「…ぁんだよ?……」
ちらりと視線をよこすだけで、
手元を動かしたまま声をかけられた。
『えっ!?あっ………』
突然のことに驚いて、うろたえるが、
サンジは特に反応することもなく…
「腹減ってんのか?」
とだけ、言う。
『……あの…この間は助けれくれて、
ありがとうございました…』
……この人、苦手だ。
そう思った私は、逃げるかのように体を引きずりながらその場を離れた。