第2章 1時
******************
ふと目が覚めると、いつもと変わらない香りに包まれた。
………あれ?私の部屋?
まだ動かない頭で考えてみる。
……体、まだ痛む。
負傷した肩と足に力を入れるが、激痛が走る。
……船にいたはず…
少しずつ思い出してきた。
……パパが来て、痛くて気を失ったんだった。
『………………』
ゆっくりと体を起こし、床に足を付ける。
立ってみようと思い、ぐっと体重を乗せる。
『っ!!』
痛みにバランスを失いコケそうになるのを、
右足で踏ん張ってなんとかとどまる。
……やっぱ、痛い。
左足を引きずるように一歩前へ。
……………よし。行ける。
少しずつ、歩き始めドアへと到着する。
普段ならなんともないのに、
ただ足を片方怪我しただけでこんなにも息が切れるなんて。
それに、変に力を入れると右肩にも響く。
交差する痛みに休まることもなく、
それでも家族がいるであろう部屋まで進む。