第2章 1時
「ねぇ、しん。
髪の長さどぉする?」
ナミが楽しそうに私の髪に触れる。
……あ、名前……………
『……任せる……』
「んぢゃあ、しん。
とびきり可愛くしてやるよっ」
そう言ってハサミを持って切り出した。
……可愛くは無理だ。もとから、ブサイクだから。
「なぁ、ウソップ。
この邪魔な前髪、切っちまえ」
私の目の前にかがみ前髪を持って、後ろを切っているウソップに向かってルフィが言った。
『ま、前髪はダメ!』
……せっかくこれで顔隠せてたのに。
「なんでだよぉ。任せるっていったじゃんかぁ」
『……………………』
その言葉に何も返せなくなる。
「絶対切った方がいい!」
そう言い切ったルフィが私のメガネにてをかける。
『あっ、ちょっと』
「ルフィがそんなこというなんて珍し――…って……」
ナミが話してる途中でウソップが、私の前髪をザクっと切った。
急に明るくなった視界、メガネをかけていないのでぼやけてはいるがそれくらいはわかる。
「いっやぁぁぁ!!」
突然のナミの声に驚いて体がびくっと揺れる。
『痛っ』
「「な、なんだぁぁ??」」
ルフィもウソップも驚いたのだろう。
2人して声が裏返った。
「ちょっと!!」
ナミの声が目の前で聞こえ、両手で頬を挟まれる。
『痛い………』
ケガした右頬が痛むが、ナミには見えも聞こえもしていない。
「すっごい可愛いじゃない!!」
『……………………』
ナミの口から出た言葉に驚いた。
そんなことを言ってくれるのは家族しか今までいなかったからだ。
…………何を言ってるんだ?