第2章 1時
『タヌ………トナカイさん、ありがとうございます』
タヌキと言いかけて、睨まれたので慌てて言い直す。
「俺の名前はトニートニー・チョッパーだ」
肩の包帯を巻き直してベッドから降りると、
トナカイさんはそう言った。
『…トニートニー……チョッパー…』
「私はナミよ。
……髪の毛、ウソップに整えてもらう?
流石に今のままじゃ……」
心配そうに覗き込んできた彼女の顔は小さく綺麗に整っていた。
……髪?………ぁあ、あの時、自分で切ったんだった…
言われて思い出す数時間前の出来事。
特に伸ばしていたわけでもないが、今がどんな風になっているのかもわからず、とりあえず頷いてみる。
「わかったわ。ウソップ、呼んでくるわね」
そう言うと、ナミは部屋を出ていった。
「しかし、よくこれだけのケガで動けたなぁ」
『……………』
チョッパーの方を向くが、必死だったので特に覚えてもいなかった。
……ただ、あんな奴に殺されたくはなかった。
「サンジとナミが慌ててお前を抱えて船に帰ってきた時は、俺も驚いたぞ」
……《サンジ》あの、黒服の男だったはず。
『……申し訳ない…』