第2章 1時
それと入れ替わりに、ちっちゃい二足歩行のタヌキと《ナミさん》と呼ばれていた女性が入ってきた。
「あら、目が覚めたのね?体大丈夫?」
私のいるベッドに腰掛け、そっと髪に触れる。
かわいそうに……と呟いて優しく梳かされると、
なんだか心地よい。
「まだ、動くなよ。っていっても動けねぇと思うけどな」
………喋った?
『……………………』
………タヌキが?
「………聞いてんのか?…」
『………タヌキが…喋った?…』
驚いて口に出すと、
「俺はタヌキなんかじゃねぇ!!
トナカイだ!!」
怒ってベッドに飛び乗ってきた。
『うわぁ――』
体を後ろに引くが激痛が走る。
「だから、動くなって言っただろ!」
ブツブツと言いながらも、手当てをしてくれるトナカイが、ここの船医だろうか……