第2章 1時
……もぉ、ダメだ。窒息死してしまう…
体の力が抜けてしまったのと同時に、ようやく解放された唇は、
なんだか少しジンジンしていて、
目の前は曇っていた。
「……わりぃ……ケガ人に手ェ出すつもりはなかったんだが…」
つい。
と、すまなさそうに謝る男に、今何が起きたのかさっぱりわからない私は、なんて答えれば良いのかを必死で考えていた。
目の前の曇も取れ、相手の顔が見えると、
『あの、きす。ってなんですか?』
なんて聞いたからだろう。
驚いた顔をして、その後笑い出した。
「…はははっ………お前、キスも知らねぇで今のことしてたのか?」
まだ笑い足りないのか、苦しそうに笑いをこらえている。
『………?……』
……なんだ?この無礼なやつは…
膨れる私に、
「……わりィ。今俺達がしてたのが、キス、ってやつだ」
……今してたこと?
『互いに窒息させ合うことか??』
「……窒息?……ダハハハハっ!……
……だから、あんなに苦しそうだったのか!!
ちげぇよ、もっと、気持ちよくなる事だ」
そう言って、その男は私の頭に触れ部屋から出ていった。
『…一体なんだったんだ?……』