第2章 1時
『くっ』
私だった。
男の打った玉は、私の左太ももをかすめた。
左膝をつき、右半身に体重を乗せる。
「ヒャッハッハッハッ!!
勝負あり!ってかぁ?」
肩で息をする私に一歩ずつ近づいて、
オデコに銃口を当てる。
「お別れだ……ブス!!」
……もぉダメだ。
もぉ力、残ってないよ
悔しくてたまらない。
こんなゲス野郎に殺されるなんて。
負けたくない!!……………
こんな時ですら可愛げのない私は涙の一つも流れない。
命乞いなんて、
するはずがない。
男の息が上がる。
……最後か………
フゥっと息を吐きだし、男を見上げる。