第21章 セカイノオワリ
捉えた。
そう思ったのは私だけではないはず。
当人のマスターさんだって思っていたはずだ。
皮膚を鋭い刃物で刺すズブリという音に、思わず目を瞑る。
「にゃんこちゃんつれてどこいくんだおっさん。」
見えない視界の中で、今まで登場しなかった甘ったるい声を私の耳が捉えた。
「がっ…っくそ。」
聞こえてくる声がおかしいと、恐る恐る前をみれば、やはり血が飛び散っていた。
しかしそれは、マスターさんの。
「おーおー良いとしこいてヒーローか?お前じゃ相手にならんなぁ!!」
状況が読み込めず、立ち尽くしていると、マスターさんが行けと言う。
そんな状態のマスターさんを、おいて行けと。
現れた第三者のナイフによって腕ごと壁に縫いとめられたマスターさんを、おいて行け、と。
「いや!!」
何もできないと知りながらも、逃げないといけないとわかりながらも、私は咄嗟に頭を振った。
そう言えば、最初の攻撃は鋭い刃物だった。
まさにマスターさんを貫いているあのナイフと同じものだった。
しかし、目の前に現れた敵を見て、忘れていた。
大男の方が持っている武器はナイフではない。
つまり、ナイフを武器とする誰かが潜んでいることを、十分に考えられたはずだった。