第21章 セカイノオワリ
引き摺られる様にして、奥へ奥へと進んでいた。
マスターさんはまるで使命かのように私を奥へと誘う。
「マスターさん、ここまでくれば!!」
大丈夫、そう続けようとした。
が、風を鋭く切る様な音がして、私の真横を何かが煌きながら通り過ぎる。
それが何かわかっているのか、彼は私を背に隠す様にして、それが投げられた方へと向き直る。
「ちっ…まだなのか…」
小さく漏れたつぶやきに、ことの次第を察する。
どうやら敵がここまで入り込んできたらしい。
足音を消して走っている様な、わずかな衣擦れの音がする。
「なんだよ、外の奴らだけじゃないのか。」
そう言って姿を表したのは、私の体の倍ほどはあるのではないかと思えるくらいの大きな人。
「トウカ、ここはどうにかする。気づかれない様に逃げろ。」
私にしか聞こえないトーンでマスターさんは呟き、腰元に手をかざす。
何か光るものが見え、恐らくそこに武器を仕込んでいたのだと理解した。
しかし、マスターさんなんて相手にならないのではないかと思うくらい大きいその人を、私一人逃がすために相手をするなんてどう考えても無茶だ。
別にマスターさんの実力を知るわけではないが、彼の戦っているところを私は見たことないし、聞いたこともない。
むしろ、非戦闘員のような扱いだったはずだ。
「威勢の良いオヤジだな。さてはその先に何か隠してるとみた。」
私からしか見えないその人はくたりと笑む。
相手は手には重量感のある棍棒を携えていた。
話に答える気はないという風に、相手が動く前に素早くマスターさんが動く。
喉元を完全に捉える動きで、鹿の様な素早さと、しなやかさだった。