第3章 サマヨウイシキ
次第に声と足音は大きくなり、凝視したドアが開かれると同時に開いた先の明るさに目が眩んだ。
「ん?あぁ甲板に侵入してたガキってこいつかー」
目がなれないでいると、ふと目の前に気配を感じ声が落ちる。
酷く茹だるような声だ。
「そーそー。全く海賊の船に乗り込むなんざ、いい度胸だよなー」
片方の声は酒焼けでもしているのかと思うくらいひどい嗄れ声で、鼓膜に響くと胃がキリリと痛む。
それよりも、今この人なんて言ったかしら?
海賊って…
「んん!!(海賊!?)」
頭の中で反芻して思わず唸る。
時代錯誤にもほどがある。
日本でさえ海賊がいたのはかなり昔。
さすがの事実にここは異世界だと実感させられる。
しかし、驚く私をよそに、彼らは短いしたうちをしたあと私の頭を鷲掴んだ。
「お前に話す権利与えられてないって聞いたけど?」
「っ…!!」
馬鹿にするようなネットリとした言い方に、きみの悪さを覚える。
自然と体が強張り、そんな私をみて、彼らは楽しそうに笑った。
「あんらまぁ可愛い顔しちゃってさー?たまにはいいなぁこういうのも。」
相変わらずネットリといって私の髪をその手で弄ぶ。
相手が喜ぶだけだとわかりながらも、身震いが止まらない。
「え?お前ロリコンかよー!!」
一緒にいた男が嗄れ声ではやす様に言うと、それを受けた男はその顔にゾッとするような笑みを浮かべた。
「ちげぇよ。でも何かそそらね?」
その表情を見て、私は本格的に固まった。
今まで外に出たことなんて滅多にない私がやっと出てきたそこは異世界で。
こんな恐ろしい者に会うなんて、考えてもいなかったのだ。