第15章 シンジン
本を小脇に抱えて机に手をつく。
ペンギンさんを振り返り、挨拶をしようとした。
そのときだった。
「ペンギン。」
唐突にペンギンさんの部屋のドアが開いて、そこから滑らかな動作で船長さんが入ってきた。
「珍しいな。直々に迎えか?」
私が使っていたものを片しながらペンギンさんが言えば、船長さんは意味ありげに目配せをしていた。
私には何を訴えたいのかわからなかったが、ペンギンさんはわかったらしい。
それ以上何も言わない。
「昼飯だ、行けるか。」
「今しがた終えたところだ。」
要件を言われ事務的に答えたペンギンを振り向いて頭を下げる。
「ペンギンさん、今日もありがとうございました。」
言えば口元だけ見えるそれが、ゆるりと笑みを浮かべる。
ペンギンさんはいつも帽子をかぶってるから表情全体を見ることはないけれど、すごく柔らかく私に接してくれる。
今だって
「あぁ。俺もあとから行く。」
そう言って二回、私の頭をその手が軽く跳ねた。
それを見届けたのか、船長さんが踵を返す。
「行くぞ。」