第15章 シンジン
頷いてゆっくり立ち上がり、自分の歩けるペースでその背について行く。
「よいしょ…。」
壁伝いに体を支えながら歩く私を船長さんは少し歩いては待つことを繰り返しつつ合わせてくれる。
ダイニングはもう覚えた。
ベポくんとペンギンさんの部屋にくるときに散々言われたからだ。
そう言えば朝は少し恥ずかしかったなぁと思いながら歩いて居ると、前を行く船長さんが予告もなく振り返る。
「…今昼食に半数のクルーが集まっている。」
「え…?」
そしていきなりそんなことをいうもんだから、私は驚いて歩みを止めてしまった。
そうすると船長さんはまた前を見据えて歩きながら聞けと私を歩かせる。
「クルーにお前のことを教えなきゃなんねぇ。お前もいつまでも知らないまま嫌だろ。」
それは私も思っていたこと。
船においてもらっているが多分私はこの船のほんの一握りの人にしか把握されて居ないはずだ。
たまに病室のようなあの部屋の前から不思議そうな気配を感じるのは、私をどう捉えて良いかわからないクルーの人たちの気配だというのは、私も気づいていた。
「お気遣いありがとうございます。」
歩きながら言えば、船長さんは肩越しに少しだけ振り返る。
「ふん。お前自身のことは俺が話す。自分から余計なことを話すな。」
「はい。」
私の説明では帰って混乱を招きかねないからそれはありがたい。
いつの間にか、もうダイニング近くまできていたのか、賑やかな声が聞こえてくる。
「うるさいが良い奴等だ。疲れるなら話さなくて良い。無理はするな。」
そういった表情は珍しく柔らかくて。
本当に大事なものなんだと思わされた。
「はい。っ…。」
その表情を眺めつつ返事をした時だった。
今まで耐えられた船の揺れが、少し大きくなり耐えられなくなってその場に私は崩れてしまった。
今までこんなことになったことはない私は、自分の重症度に戸惑いながらまた体を起こす。
「…歩け。もし敵なら、お前は格好の標的になる。そんだけ弱ってんだ、力が使えるかわからない分、逃げる足を確保しろ。」
息が切れてしまうほどこの少しの距離を歩くのが辛く、さらにはバランスが取れない。
でも船長さんの言い分はよくわかった。
だから、自分に負けないように
「はいっ…!」
力一杯返事をした。