第39章 ダンノシット
ただ、ダンさんがその言葉を悪意を持って使ったとわかったからなんだか嫌だった。
「まぁ、ずいぶんと甘いお子様が入ってしまったこと!!」
大袈裟に身振りまで交えられて、私は肩を落とした。
普通は、わかるものなのだろうか。
でもそんなこと言われたってわからないものはわからないのだ。
私はただの異世界の巫女で、海賊ではないのだから…。
何も返事をしようとしない私をどう思ったのか、ダンさんは何も言わなかった。
私も私で、何を話していいかすらわからない。
しかしこの沈黙が心地悪かったので何か話さなければとは思うのだが、一向に言葉など出てこなかった。
そんな私達の雰囲気を察してかのように、ノックが飛び込む。
「トウカ、俺だ。ペンギンだ。」
落ち着いた声が聞こえて、多少ホッとしつつも扉を開けようとベットから抜け出そうとすると、それより前にダンさんがサッと扉を開いた。
「ダン?」
開いた扉の先に予想しなかった人物がいたからだろうか。
ペンギンはわずかに身を引いた。
「様子をみにきただけよ、もう行くわ。お店も開かないとだし。」
「そうか、またな。」
間をすり抜ける様に扉から出て行くと、ダンさんは少しだけこちらを向いた。
「あなたも、またね。」
紅を引いた口が曲線を描いて、ダンさんは立ち去って行った。
私はそれに答えるも無く、ただ唖然とその姿を見送った。
もっと何か言いたそうだったが、恐らくペンギンさんには聞かれたくなかったのだろうか。
その後ろ姿は随分あっさりしたものだった。
扉が閉まり、ノブを握るてをたどれば、そこには少しだけ表情のこわばったペンギンさん。