第33章 コエ
絶対今のは私に向けてだ。
だってシャチさんもベポくんも会話しながらもしっかりと食事はとっているし周りの人は食事に夢中だ。
「あれ、トウカ?顔赤いけど本当に大丈夫?」
低いテノールを思い出していた耳にベポくんの声が聞こえれば、私は慌てて首を振った。
「なんか、ボーッとしちゃって…。大丈夫です、本当に。」
今度こそはっきりいえば、シャチさんが自分のお皿から一口サイズのポテトを私の口に放り込む。
「ちゃんと食っておかねぇと、持たないからな。」
「あ、シャチずるい!トウカ、僕のも!!」
そう言ってポテトを食べ切った口にまた何かが放り込まれる。
ミニトマトだったようだ。
フレッシュな味が口に広がって美味しい。
「…お前ら。」
味わっていたら船長さんが今度は視線をこちらに向けつつ呆れ声を出す。
「餌付けじゃないんだ、ちゃんと食え。」
ため息混じりに言われれば、サッと頬に熱が上がる。
無意識に食べていたが確かにこれでは雛鳥の餌付けではないか。
「え、いいじゃんキャプテン。キャプテンもやってみれば?」
「やらん。ちゃんと食え。」
「トウカ好き嫌いしないから楽しいのに!!」
「そういう問題でもねぇ。」
再度吐かれる呆れ声。