第29章 チョーカー
みんなが、と言われるとなんだかんだ私は弱いようで、嬉しくなってしまい思わず操られるように頷く。
すると、今まで逃さないとでもいうようだったシャチさんの手が、するりと解かれ、頭を軽く撫でられる。
「これ、首にしても良いんだけどな、どうも腕にしてもいいし、足首にもできるやつなんだってよ。俺たちはつけてもらえれば嬉しいから、着ける場所はトウカが決めろよ。」
そう言ってシャチさんは軽く手を振り、私から離れて行った。
右手にチャーム、左手にバケツを持っていた私は、とりあえずなくす前にチャームをどうにかしようと思う。
バケツの水を捨て、使っていた道具を元に戻す。
手を洗おうとした時、チャームをどうしようか迷ったが、今日着ていた裾の長いワンピースを弄れば、小さなポケットを見つけ出し、そこにしまいこむ。
手を洗って船内に入れば、みんながお疲れ様と声をかけてくれる。
それに答えながら目指したのは洗面台だ。
これに付けてと渡されたチェーンに通したチャームを付けたいのだが、難儀なことに私は腕をあげられない。
身体が硬いわけではないのだが、肩が一定のところ以上は上がらない。
別段不自由したこともなかったが、このチョーカーの様なチェーンを着けること自体が始めてのため、鏡で観て付けた方がうまくいくと思って、とりあえず、洗面台を目指す。
チャームの保管場所もついで決めてしまおうと、そのあとは部屋にでも戻ろうかと考えながら、ダイニング近くにある洗面台にたどり着いた。