第27章 メザメ
私が記憶に残っている限り、不機嫌そうな顔以外あまり見ないけれど、今回もまたその中でも選りすぐった不機嫌さを醸し出している。
物凄く眠そうなのもプラスしているらしい。
「船長さん…」
恐る恐ると声をかければ、ベット脇の椅子にドッカリと腰を据えた彼が相変わらずクマの酷い顔で睨みつけてくる。
何だか怒っているような雰囲気だと察したのはそのすぐ後で。
私は一気に緊張した。
もしかして、私の意識に触れて来たあれは気のせいだったのかもしれない。
黒鉄が言うことを否定しながらも心の何処かでそれを望むばかりに見せた幻影だったのかも…。
そんな考えが頭をよぎった瞬間、重くて深い溜息が沈黙を破った。
「眠った顔も頭に来たが、起きたばかりの顔ほど癪に障るものは無いな。」
「え…?」
まるでぼやくように言われて呆気に取られていると、椅子から勢いよく立ち上がったついでかのように、私の腕を掴む。
何が起こっているのか把握する前に、あっさりと反転した私は、気付いたらベッドから引き落とされて居た。
何だか目が回ってしまって暫く天井をぼんやりと見ていると、視界の端では彼がベッドへと潜り込んでいるのが伺える。
「クルーに顔見せてやれ。ペンギンに会ったら後は頼むと伝えろ。俺は寝る。」