第27章 メザメ
浮遊感ののち、目に強い刺激を感じて私は身じろぐ。
面白いくらいに体が硬くなっているような、とにかく動かすのも億劫なほど重たくてかなわない。
それでも少しずつ目を開けば、ぼんやりとした私の目にうつったのは何処かの天井だった。
寝ぼけたような頭で周りを見渡せば、そんなに頻繁に来た覚えのない船長さんの部屋だとわかる。
「トウカ…?」
キョロキョロと目だけ動かしていると、私の足元の方から猫の姿をした黒鉄が顔をのぞかせる。
「黒鉄。」
返事はすれば、真っ黒の毛並みの尻尾をこれ以上ないくらいピンと伸ばしたかと思ったら、物凄い勢いで部屋から出て行った。
何事だったのかと思いつつ、身体を起こそうと試みるが、思った以上になまっているようで上手く起き上がれない。
足をベットにおろしてみようか…?
そんなことを考えている私の耳に、先ほどの黒鉄の足音とコツコツと一定の速さで歩く足音が聞こえて来た。
誰かなんてもう聞かなくてもわかるその足音に、自然と行動が停止する。
「ほれ!!起きよったぞ!!」
嬉々とした声と共に部屋に足を踏み入れたのは、やっぱり船長さんだった。