第7章 初太刀・初脇差
黒髪にかわいらしい顔立ち、半ズボンとハイソックスを身につけた美少年。と、癖の強いピンク色の髪に、こちらも可愛い顔立ちので白いタイツを身に着けている美少年。
彼らは乱や五虎退や前田が着ている服とデザインが似た服を着ていた。そして、傷だらけでボロボロだった。
「大丈夫だよ、”薬研”。”秋田”も傷だらけだし…。」
「二振りと、会えれるなんて…嬉しいですし。」
今、加州達は物陰に隠れていた。と言っても、敵である新政府軍の銃撃で燃えていたり、崩壊している屋敷の中にいた。
ここでは何体か歴史修正主義者と対峙していた。そんな折、乱と五虎退が何かを見つけ、声を上げた。
全員が二振りが見ている方向に目を向ければ、乱の言う”薬研”と”秋田”が刀ーー短刀を手に、敵と交戦していた。錬度の差なのか、所々、生々しい切り傷があり、血が流れていた。
『ねえ、加州!あの二振りを助けれない?僕達の兄弟なんだ!!』
『あの!お願いします!!』
加州の着ている上着の裾を引っ張りながら、乱と五虎退は助けたいと懇願した。いつもおどおど、気弱な五虎退もはっきりした口調でお願いしてくる。
⦅…確かに見過ごせないし、それにーー、⦆
『分かった。助けに行こう。目標はあの少年達の救出、敵は殲滅しなくていい。』
そして、今の状況に戻る。
少年達を救出した後、何処か適当な安全な場所に避難して、手当てをしていた。完璧な手当ては千隼でないと出来ないから、応急処置だが。
「俺は”薬研藤四郎”。名前はこうだが兄弟達と違って、俺は戦場育ちでな。雅な事はよくわからんが、戦場じゃ頼りにしてくれていいぜ。」
「どの口が言ってんだか…ボロボロじゃん。」
確かにな!乱の言葉にはにかんだ様な苦笑を見せた。
「で、こっちが”秋田藤四郎”。俺っちの兄弟なんだ。」
薬研藤四郎はそこまでの怪我では無かったにしても、ピンク色の髪の少年は、気絶していた。怪我も酷く、顔には血の気が全くなかった。
「乱に五虎退、前田の兄弟ね…。”藤四郎”多いね。」
「でしょ?誇らしいよ~兄弟が多いのは!!」
乱を褒めた訳ではないのに、所謂どや顔を見せていた。
「アンタ等は…何処かの刀剣男士なのか?」
「そう言う事情は知ってるんだね。」
ああ。手当てが終わったのか、五虎退にお礼を言って薬研藤四郎は立ち上がった。
