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審神者と刀剣と桜

第7章 初太刀・初脇差


「そうそう。兼定が言う様に、黙って、大人しく布団の中にいなよ。めんどくさいから。」

 ジドっとした目でウチを見てくる加州。隣の和泉守さんは、心底驚いた顔を加州に見せていた。

「おま、主なんだよな、コイツ…。」
「だから?無理してお前を呼んだのはコイツで、自分で分かってたでしょ?」

 否定の言葉が見つからずに、顔を背けた。是非もないです、ホント。

「まあ、目が覚めてくれただけいいか。これから出陣すんの?”維新の記憶”。」
「ああ…どうしよ…怪我なんてしたら、治せないし…。」
「自業自得。…じゃあ、怪我しない様に出陣する。これなら負担も少なく済むだろ?」

 当初立てていた計画が自分の愚かな事で崩れていく。加州は頭を掻きながら、新たな案を提示してくれた。
 でもそんな事ってーー、

「出来るのって顔してるね。」
「いや、だってさ…。」
「だってもさっても無いよ。出来るんじゃなくて、やんなきゃ。」

 これ以上面倒な事にしないで。前田君と五虎退、和泉守さんに声をかけて加州は立ち上がった。
 …大人しく寝てます。はい…。
 寝る体勢に入る為、また布団の中に入った。やっぱり、横になるのが楽だ。

「いや、俺はここに残る。正直言って、お前らは”この体”に慣れてるんだろ?足を引っ張るのはごめんだ。」
「そうじゃん。忘れてた。」
「おい!!」

 夢うつつな思考の中で、そんな会話がされていた。声的には和泉守さんが残るのかな…?

「僕も残ります。」
「前田も?了解。じゃあ、出陣してくるけど、コイツが何かしようとしてたら何しても良いから、全力で止めて。」
「流石にしないって。って言うか、する気力すらないよ…。…いってらっしゃい。」

 前田君も残るのか…。耳に加州達の足音が流れてくる。
 寝よう。万が一、帰って来た皆が何かあっても対処できるように。
 でも、眠れそうで眠れない。気になって眠れなかった。

「和泉守…兼定さんの主は新撰組の人だったんですか?」

 まだこの部屋にいるだろう和泉守さんに声をかけた。ウチが気になったのはこの事だった。それとーー、

「何か…加州と関係が有るんですか?」

 二振りの会話を聞いてると、そんな感じに思えるんだ。初対面だとしたら、凄く互いに馴れ馴れしいと思えるし。

「いや、アンタ寝てろよ…。って言うか、質問攻めかよ!?」
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