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審神者と刀剣と桜

第7章 初太刀・初脇差


 愛染は背伸びをしながら、意識の無い抱えられている千隼の頬を突っついていた。
 前田と乱はそれを見ていて、小夜は一瞬目を向けてから、加州の後ろにいる人物に目を向けた。

「そう、名前は”和泉守兼定”。鍛刀終わるまで待てばいいものを、待たずに手伝い札使いやがったの。自業自得だよね?」

 コイツ…。加州は愛染の行動を止める所か、もっとやれ!と言って勧めている。
 ”兼定”その言葉に小夜の体が揺れたような気がした。彼にとって何かあるのだろう。

「すごくおおきいですね!ぼくは、今剣といいます。よろしくです!」
「なあ、清光。こいつ等は何なんだ…。ガキしかいねーじゃねーか!?」
「今、俺の居る本丸に居る刀剣。色々事情があって未だに、脇差以上がいないの。だから、アンタが来てくれたのは本当に嬉しい事だよ。」

 指を指すのは止めなよ。加州以外が年端もいかない子供だらけに、困惑の色を見せる和泉守兼定。それを静かな声で注意する加州。
 それでも困惑し続けている彼を見て、短刀達は自身の本体を見せる。和泉守兼定はやっと納得してくれた。
 問題が片付いたので、お互いに加州以外が自己紹介していく。

「俺は和泉守兼定。かっこ良くて強い! 最近流行りの刀だぜ。」
「因みに俺とは昔一緒だった知り合いの内の一振りなんだ。刀種は太刀。」
「なんか、色々通り越してるね。」

 リアルラックが凄いのか何なのか…。今まで短刀しかいなかったのに(打刀もいるけど)、急に太刀を出した事に、乱は脱力した顔を見せる。

「取り敢えず、コイツが起きるまでは出陣は見合わせ。で、俺は寝かせて来るから。」
「あの…お布団、敷きます…!」
「僕も行きます。」

 五虎退がおどおどと手を挙げながら、役割を買って出ると、前田も同じ様に買って出た。

「有難う。兼定は…ここに居る?それとも付いて行くる?」

 鍛刀部屋から出て行くのと同じ様に、和泉守兼定に背を向け、顔だけ向けて話しかけた。

「ああ…付いてく。」

 小さい五匹の白虎が凄い勢いで廊下を駆けて行く。五虎退と前田はそれを追って同じ様に駆けて行く。
 加州は小さいそれが足元をちょろちょろして行く為、抱っこしている千隼を落とさない様に、抱え直す。

「ごめん、千隼…。」

 非常に小さい声で、謝罪の言葉を口にした。
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