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審神者と刀剣と桜

第7章 初太刀・初脇差


「ーーー。ああ…それはちはやんが悪いよ。そのレシピなら、短刀しか出ないよ。それ以上の刀剣に来て欲しいなら、量を多くしくちゃ、それぞれ。」

 自分が今日までしてきた鍛刀のレシピを話したら、そうお返事が返された。
 すっかりと当たり前の事を忘れてたよ。馬鹿じゃん、ウチ…。

「今日、帰ったらやってみるよ。って言うか、天音髪切ったんだね。さっぱりしてる。」
「ちはやんこそ、バッサリ切ったんだね。あたしは楽に為りたかったから。ショートは楽でいいね~。」
「ウチは…色々と…。」

 髪を切った理由を濁して話した。
 写真と比べて、本当にバッサリ切っていた。確か腰まで有った黒髪だったよね?今はうなじが見える位の長さだ。黒縁の眼鏡は今でも健在だ。

「じゃあ、初期刀は留守番をしてる加州清光なんだね。」
「そう。天音は?誰を選んだの?」

 いつの間にか話は初期刀の話に変わった。如何やら、大和守安定は現近侍なだけで、少し前は初期刀がそれをやっていたらしい。

「”陸奥守吉行”!坂本龍馬が愛した刀。あたしは”むっちゃん”って呼んでるけど。」

 その名を聞いて、数日前に来た五振りの刀が置かれた部屋の事を思い出した。あそこに、同じ様にその刀もあった。
 でも何でーー、

「その刀を選んだの?」

 何となく出てきた疑問を口にした。天音は嫌な顔をせずに、答えてくれた。

「むっちゃんがね、ヘ〇リ〇のあたしが愛してやまないキャラにね…ムフフ~。」

 おやぶーん!!顔が物凄くデレデレとしたモノに変わり、彼女は彼女の部屋に入ってしまった。脳内の。
 見た目は大人しそうな、おどおどしそうな感じなのに、話してみれば、めっちゃ饒舌な腐の乙女であった。だから、直ぐに仲良くなれた。だが、ウチは腐ってはおらんよ。

「ああ…主…。」
「大丈夫、慣れてるし。ねえ、天音!警察呼ぶ?病院行く?」

 呆れた顔で、自身の主を見る大和守安定。少し同情したくなる。隙あらば、腐った沼へ引きずり込もうとしてくるから。
 天音に対して、いつもの恒例の言葉を言えば、酷いと返ってくる。それだけのやり取りでも自然と笑顔になる。

「まあ、頑張れば仲間になるから、見てみてよ!本当に似てるから!!」
「楽しみにしておくよ。」

 会わなかった分色々な話を互いにしながら、進んでいると自分達のこれからの教室に着いた。
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