第6章 ”オカミさん”
でも、さながら某ジブリの名前を奪われるシーンみたいだ…。落ち着くために、出された湯飲みのお茶を頂く。
「じゃあ、コイツはまだ”審神者”でなかったの?」
「そう言う事。でもこれで政府からも何も言われない。」
同じ様にお茶を飲んでいた加州が口を開く。オカミさんも一緒にお茶を飲んでいた。
「さあ、本当に”審神者”となった千隼ちゃんにプレゼント!」
またもや何処から出されたのか分からない、大きな紙袋を差し出された。如何やら中身が入っているみたいだ。
「中身出して、確認して?」
言われた通りに、紙袋から中身を取り出す。すると中身は、
「何これ…?」
紅の袴に、白い着物ーー多分白拍子の衣装が入っていた。
「白拍子が着る着物。簡易にされているから、貴方にも簡単に着る事が出来るはずよ。」
広げてみれば、言われた通り簡易的になっていた。
上半身の着物は甚平のようになっていて、下は水干の袴の様になっている。全体的に水干風である。
他にはポンチョ型の羽織と現代風のお尻まで隠れる羽織があった。両方とも大きくてフーボが付いている。
「サイズは大丈夫だと思う。一回着てみて、何かあったらまた持って来て。」
呆気に囚われながら、紙袋にそれらを戻す。
「この衣装って…。」
「審神者の正装と言ったらいいのかしら。週に一回とかに各国ごとに審神者が集まる事が有るの。その時に着るとかが主になってくるかな?」
「え、集会が有るんですか?」
「情報交換や、政府からの通達だったり…色々ね。」
そんなの始めて聞いた…。じゃあ、これからあるのかな…?
後はこれも。と言って、また紙袋を何袋か寄越した。今度はずっしり重い。中に何が入っているのか気になって見てみれば、中にあるのはーー
「教科書!?何で…。」
「おめでとう!学校がこの世界にもあるの。千隼ちゃんは高校生でしょ?学ぶ権利があるし、中学生や小学生の子も居るの。」
「何それ…。」
高校生なら未だしも…そんなに小さい子まで審神者になるの?マジか…。
って言うか、学校があるなんて。
「大学生も学校があるから、自分が向こうで先行していた物を学べるし、審神者として来た人の中に学校の教師や教授がいるから、大丈夫!」
大丈夫!?日本ていう国が別のモノに成るかもしれないっていうのに…。