第27章 文化祭①/伊月*宮地*森山
「ほい。」
「ありがとうございます、宮地先輩。」
オレンジのフレッシュジュースを苗字に渡した。
「…名前、今二人だぜ。」
「あ!そっか。ごめん、…清志くん。」
まだ言い慣れない呼び方が辿々しくて可愛い。
付き合い始めたのはIH予選が終わってから。
3ヶ月ほどしか経っていない。
二人の時はお互い名前で呼び、敬語は使わないと決めていた。
「どこ行こうね?」
「どこでもいーけど、緑間のクラスの占いの館とかは?」
「あははっ!面白そう!」
「ほら、はぐれるぞ。」
そう手を差し出すと、名前は嬉しそうに手を握ってゆっくり隣を歩く。
「清志くん、クラスの子とか良かったの?」
「あ?いいよ。…お前と文化祭廻れるの今年だけだろ。」
1年生と3年生。
つまり今年は学校行事を一緒に楽しめる最初で最後の年。
えへへっと顔を緩め、幸せそうな表情を見せる名前。
「…清志くん。」
「何?」
「そういうとこ好き。」
「…わかってるっつーの。」