第10章 地下へ
「亜細亜研究所分室ある! なんでもかんでも横文字にすんなある! それに我のセリフとんなあるっっ!!」
「あははっごめんごめん~」
かみつく耀に、フェリちゃんはへらへら笑って謝る。
物珍しい光景に、なんだか笑えてきた。
と、さっきから空気だったギルが、「無事だったかフェリちゃん!」とまとわりつく。「無事だよ~」とスルー気味のフェリちゃん。
微笑ましく見ていると、流れるような無駄のない所作で抱きつかれた。さすがプロ。
「疲れた~公子ちゃんで充電~」
「おおおお疲れ様です」
辛うじて平静を保つ。
いつも以上にユル~い口調に、疲れが見えた。
少し我慢しよう。というか動けないが。
「つまりここは、最近の一連の異変を解決するための、極秘の地下研究所の英国支部あるっ!」
フェリちゃんを引き剥がそうとしつつ、ドンッと耀が言った。
この規模で支部という“分室”か。
本拠地(おそらく中国か日本か?)は一体どれほどすごいのか、ため息がでそうだ。
にしても地下研究所とは、なんだかワクワクする響き。
あれ? でも――
「亜細亜って言いましたが……」
フェリちゃんとギルを見やる。
こいつら亜細亜じゃねーぞ。