第42章 諸刃の刃の切っ先で
まず、ライヴィスだ。
机につっぷし、くうくう眠りこけている写真が凄まじい勢いで心臓を貫いた。
ギリシア神話に出てくる少年天使を現代のCGで再現しました、と言われても即座に納得する。
安直に
『天使の微睡み』
とか名付けて美術館に展示したいし、されていても何ら違和感ない。
しかもそれが連写されており、ページをめくるとまるでパラパラ漫画のようにライヴィスの頭が小さく動き、それにならって髪の毛がふわふわ動いて見えた。
「つ、次に進まないんですか!?」
とライヴィスが赤面して半泣きになっていたので、そろそろ進むことにした。
続いて、
「そ、そんなに顔近づけなくても見えますって!!」
たぶん私の瞳孔は開ききっているだろう。
トーリスが、私の背を椅子の背に引き戻そうとして、肩に触れそうで触れない距離で手をあわあわさせていた。
画面を目と鼻の先にまで近づけて、目をかっぴらく私の視線の先にいたのは、浴衣のトーリスであった。
しかも、胸元が、激しくはだけていた。
慣れないのだろう。
腰に巻かれた帯を触っているが、かえってその姿勢が鎖骨を強調しているように見える。
「?」がいっぱい飛びかっているような表情もいい。
手伝ってあげるよ! と駆けつけたくなる。
「フェリクスにジュースこぼされちゃって、菊さんの服を借りたんですよ」
祖国………………ナイスッッ!!
天高く拳を突き上げる私。
を、怪訝そうに見るトーリス。