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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第39章 錯綜と進む針と


花が咲くようにうまれ続ける火の玉は、ある種幻想的な風景を作りだしていた。

なにが起きているのか、脳が処理し始める前に、彼女がくるりと背を向けたことに気づく。

そのまま彼女は、暗がりの奥へ歩きだした。

「っ、待ってくれ! ぅあっ!?」

あわてて踏みだした右足に、鋭い痛みが走る。

目を落とせば、煌々と燃える火に足を絡め取られていた。

痛みばかりでなく、どうしてか足が動かせない。

床に釘で打ちこまれたかのように、一歩も彼女に近づくことができない。

「待っ――」

頭が熱い。

こめかみを重いなにかが這いずり回っている。

右耳の近くがずきずきと痛い。

「公子……っ!」

彼女の背中が見えなくなっていく。

意識がもうろうとする。

うるさく痛み続ける右の頭をおさえ、その場にうずくまり、膝をついた。

「――」

誰かの声が聞こえた気がした。

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