第31章 He want not to stay,
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「……公子……」
暗い。
寒い。
「……じょう……ぶか、公子……」
皮膚は寒いのに、頭だとか、心臓のあたりがすごく熱い。
脈動が加速して止まらなくなる。
声にならない悲鳴を叫ぶ。
ここはどこ?
「公子!」
「――っ」
その声で、私の世界は光を取り戻した。
視界にいっぱいに広がっている、顔と声。
悪寒はまだしたが、そんなのは全く気にならなかった。
視覚情報の処理は済んでいるのに、精神の、身体の反応が、もどかしいほど鈍い。
目に熱いものが滲んでくる。
私はそのまま、“彼”の胸に飛びこんだ。
「ロヴィーノ!」