第31章 He want not to stay,
「どんな協力だって惜しまないよ。私にできることなら、いや、ちょっと無理があったって、それが解決につながるならなんだって――」
ガタン!
銃声とは違う大きな音に、肩がびくっと跳ねる。
彼が、立ち上がりざまに椅子を蹴り飛ばした音だった。
乱暴な足取りで私のもとに来ると、自分に視線を合わさせるように、銃で私の顎を持ち上げる。
その瞳には、激しい怒りが渦巻いていた。
いや、ペリドットの色彩は、もっと複雑な感情を燃やしていた。
「……そんな言葉、もう、聞きたくない」
極限まで感情を押し殺した声音で、そう告げられる。
私は喉の近くを圧迫され、話すことができない。
銃口は腕に移動し、一瞬の間ののち、彼の指が引き金にかかった。
ピリっとした、電気的な痛みが腕から全身を駆け巡る。
重たい、質量のある痛みが意識を再び奪い始めた。
「……ど……して……」
視界を闇が侵食していく。
――どうして泣きそうな顔をしてるの?
最後に見えた表情の意味を考える能力は、暗がりの中へ抜け落ちていった。