第10章 THE HAPPY END
あ…
ふと、誠二くんの手が目に留まる。
「…誠二くん、怪我してる」
「あ?」
「ほら、手のところ…」
誠二くんの手を取り、手のひらで包む。
窓ガラスとか殴っちゃったりしたから
怪我しちゃったんだ…
「大したことねえ、ほっときゃそのうち治るだろ」
「だめだよ、ちゃんと手当てさせて。
救急箱ある?」
「そっちのキャビネットん中だけど
…まじでいらねー」
「いらなくないよ! 座って待ってて」
「……」
渋る誠二くんをソファに座らせて、
救急箱を取り出す。
私は隣に腰掛けて、
痛々しい傷を消毒した。