第1章 突然な出会い
代わりに、いつもの『王子親衛隊』の子たちがにぎやかだった。
「こっち!こっち向いて!王子!」
「王子かっこいい!手ふって!」
高橋陸を王子と呼ぶ彼女たちの様子はアイドルの追っかけを見てるみたいだ。
(定期ライブなんかでは、ペンライトもふるらしいけど…)
今日は会も会だし、これでも遠慮したほうなのかもしれない。
当の本人も一度ぺこりと頭を下げたくらいで、ファンの子たちには反応しないでいる。
「ーーーーーーというわけで、次がラストになります」
いつのまにか部活紹介が終わっていた。
高橋陸の言葉に、メンバーが楽器を構える。
そして次の瞬間、彼はアカペラで歌い出した。
『好きだよ。でももう届かない』
曲名は言わなかったけど、すぐわかった。
『あなたの涙』だ…!