【進撃の巨人】Happy Birthday【生誕祭】
第1章 Happy Birthday Dear Levi
深夜から降り続いていた雪は、正午を迎える頃にはやんでいた。
兵士達が総出で雪かきをしている中、リヴァイが講堂の前を通りかかると、2メートはあろうかという樅の木をずるずると担いだミケに出くわす。
「なんだそりゃ」
「モミだ」
見りゃ分かる、とリヴァイは眉間にシワを寄せた。
今しがた切り倒してきたのか、葉にはまだ雪が乗っている。
すると後ろから能天気な声が聞こえてきた。
「あ、ミケ! 講堂の中へ運んで」
それは、調査兵団の頭脳とも言うべき分隊長のハンジだった。
後ろには副官のモブリットが大きな箱を二つ抱えている。
「リヴァイもそこで突っ立ってないで、ドアを開けてあげて」
「あ?」
何で俺が・・・と言いたいところだったが、さすがのミケもこれだけの木を抱えていたら、ドアを開けることなどできないだろう。
渋々とハンジの言う通り、ミケのためにドアを開けた。
「ハンジ、ここでいいか?」
講堂の広い場所にどかっと木を置いて、額の汗を拭うミケ。
どこからかは知らないが、よくここまで運べたものだ。
しかし、リヴァイはそのことよりも、そこら中に散らばっている葉の方が気になった。
「いいね! ありがとう、ミケ」
リヴァイは、満足そうに微笑みながら枝に残った雪を払っているハンジの頭を叩いた。
「痛い! 何をするんだ、リヴァイ」
「無造作に雪を払うんじゃねぇ。床が汚れる」
「汚れるったって、雪は汚くないよ」
「葉も落ちてるだろうが」
どこまでも神経質な性格に、ハンジは苦笑いをする。
廊下で泥をはらってきたと知ったら、蹴られるだろうな・・・と頭を掻いた。
「ごめんごめん。あとでちゃんと掃除しておくよ」
「・・・それにしても、その木は何のために持ってきたんだ」
「何のためって・・・飾るに決まってるでしょ」
「飾る?」
花を飾るのなら分かるが、木を丸ごと部屋の中に飾るなんて正気の沙汰ではない。
前々からおかしな奴だと思ってはいたが、ここまでとは。