第11章 番外編・バレンタイン
「まぁだから、黒尾さんは孤爪にチョコ貰いたかったんじゃない?」
「へー……、なんでチョコなんだろうね」
「さぁ…」
そう答えて塩キャラメルを口に運ぶ国見。朝から大丈夫なのか…と思う。が、金田一の話によると中学のときもこんなふうに毎朝食べてたらしい。
「…あ、じゃあ国見にチョコあげないと……いけないよね、」
「!!?ッッゲホッ」
隣で激しく蒸せる国見に驚いて肩を震わす。
「え……なに、どうしたの……?」
「どうしたの、じゃ、ねぇよ……。」
まだ軽く蒸せながら国見が答える。そしてようやく元に戻った国見がさらに問う。
「はぁ…お、前さ、どんな意味の『好き』でチョコやるのかわかってる?」
「えっ、友達として………じゃないの?」
「あぁ……まぁそれが主流になってきてるって言われてるけどな、…もういいや。」
はぁ、と一つ深いため息をする。
それに対してまた首を傾げる。
「えっ…でも私……国見と話したりするの、えっと………き、嫌いじゃない、よ?」
「…あっそ。……んじゃまた後で」
「?あ、うん……」
話してるうちに部室棟についていた。男子部室棟に行く国見の耳は少し赤いように見えた。
*
「はぁ……はざっす」
「おー、国見はよ」
部屋に入って適当に挨拶するとあちこちから返事が帰ってくる。
もう一つため息をつきながら自分のロッカーへ向かうと及川さんが顔を覗き込んでくる。
「あれあれ?国見ちゃん顔真っ赤だけどどうしたの??」
「…別になんでもないです」
「ふーん……あ、もしかして夜影ちゃんとなんかあったりとか!!」
「…もうアンタ本当性格悪い……」
思わずロッカーにもたれかかる。悔しいけど図星だ。
鈍感……って言っていいのかあれは。鈍感を超えてるような気しかしない。
しかも…
『嫌いじゃないよ』
なんでその言葉がこんなに嬉しく感じるんだ……。
「いやー青春だねぇ…」
「オッサンたちから見ればアンタも絶賛青春中じゃないすか」
花巻さんのしみじみとした呟きに冷静に返す。
本当…
「調子狂いそう……」
そして部室のドアを開けて外に出る。すると、空は憎たらしいくらいに晴れ渡っていた。
もうこれ以上何も起こらなければいいな…。
そう考えてても仕方ない。俺は一人体育館に向かった。