
第10章 前日と当日

あの出来事が起こってから二、三日が経った今日。音駒との練習試合の前日だ。
やっぱりここ宮城から東京は半日はかかるそうで、各自あらかじめ荷物を持ってきておくようにコーチが言っていた。
つまりは合宿だ。
「あー、入部して早々合宿かー…緊張するなー」
金田一がブルルっと震える。それに初めての練習試合も合宿にあるのだ。いきなり高校デビュー戦があるのなら誰だって緊張するだろう。
だけど国見の「おーい国見ちゃーん?起きてる?てゆーか生きてる?」
「…起きてますし生きてます。」
……国見の方は緊張してるのかしてないのか、それどころか目を開けていない。今は夜中だからまぁ仕方ないといえば仕方ない…のか?
「よーっし、んじゃそろそろ出発するぞ!…あ、お願いしますとか言わなくていいからな、夜中だし。降りる時言ってくれりゃいい。んじゃさっさと乗れー。」
運転はコーチが担当。さきに入畑監督が乗りそのあとは学年ごとに別れて乗っていく。
三年生が乗り込んでるところをボーッと眺めてたらいきなり後ろから肩を叩かれる。
「なぁ孤爪ー?」
後ろを振り向くと松川さんがいた。
「っ……えっと、…なんですか?」
そう言うとなぜかこっそり内緒話をするように小さく屈み言う。
「…あのさ、国見あれ、起きてるか?」
指を指す方には国見が。相変わらず目は開けていないが猫背で直立して立っている。
その問いかけについて冷静に返す。
「……はい、起きてると思います」
*
「「長い時間運転あざっした!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」」
「「「あざああああっす!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」」」
「おう。これから少し練習したら試合だからな。目覚ましとけよ!!!!」
部員全員からのお礼に普通に応えるコーチ。これで驚いてたらコーチなんてやってけないか…。
そんなことを考えながら練習試合が行われる体育館へ向かう。すると行きと同じように後ろから肩を突っつかれる。
見るとそこには国見がいた。
「あ、国見…… 今朝は起きてるんだね…?」
「さすがに起きてるよ、おはよ。」
「あ、うん………おはよ」
「えーっなになにいつのまに仲良くなってたのー??」
国見の後ろから及川さんがひょこっと顔を出して驚いたように声をあげる。そのまたさらに後ろから殺気が。
「るっせぇしっかりしろ!!!!てめぇ主将だろうが!!!!!!!」
