第8章 脱・貞子計画
「…そんな目立つの嫌ならさ、髪美容院とかで切ってもらったらどうよ?」
自分で切れないなら人に切ってもらえばいいという普通の発想に孤爪は首を横に振った。
「けど、視界広いと、落ち着かない」
「んーじゃあ後ろ髪をちょっと結んでみるとかは?」
後に立っていた花巻さんはなんとか落ち着きを取り戻したらしく俺のすぐ横に来た。
「……あっ、それなら昔…幼なじみにやってもらった…………」
「へぇ、幼なじみいたんだ?」
それには結構驚いた。孤爪は並の人見知りじゃないからてっきりいないものかと思っていたのだ。
「うん。一人だけだけど……近所で…。小学生の時。」
「え、じゃあなんでそれやめたんだ?」
隣の花巻さんが当然ともいえる疑問を孤爪にぶつけた。
「結ぶのめんどくさいから……」
「やっぱりか………」
苦笑いしながら花巻さんが肩を落とす。それを見ると孤爪は立ち上がって腰あたりをぱたぱた何度かはたき、開いていた3DSの画面を閉じた。
「じゃあその幼なじみに提案された髪型どんなの?」
「二つ結び……」
相変わらず人の目を見ない孤爪の話を聞いて花巻さんが両手に拳をつくり、頭の少し上の位置に置き言う。
「? 二つ結びってここら辺の??」
「…いや、もっと低い位置…………」
と言いながら肩の下くらいの位置を手のひらでポンポン叩いた。それを見て花巻さんが納得する。
「あー確かにそれ孤爪似合いそうだしな。」
「幼なじみセンスいいんだ…」
「えっ全然。これ考えたの、お兄ちゃんだし。」
「それ何気に幼なじみ貶してない?」
今度は俺が苦笑いで言う。
「ッッぶえぇっくしょい!!!!!!!!!!!!!!」
「うわっ黒尾お前風邪ひいたのか?あともう少しで練習試合あんのに。体冷やすなよ?」
「夜久さん相変わらずお母さんですね!!」
「リエーフレシーブ練追加なー」
「(´◦ω◦`)」
鞄の中からゴムを二本取り出しながら孤爪は続ける。
「…たぶん、高校でも言われてるだろうし、もう慣れてると思う………」
「ッッはぁっくしょい!!!!!!!!!!!!!」
「ちょっとクロ汚い…」
「もう少し言葉をビブラートに包めよ…」
「おれビブラート苦手……」
「あ、間違えた。オブラートだった。」
そう言うとすぐに結び始める。結構手馴れてるのか動作がスムーズだ。
「……おー、これでちょっとは貞子感なくなったな」
