第8章 脱・貞子計画
その噂の『部室棟の貞子』について花巻さんと話しながら歩みを進めていた。
「それがさー、なんか長ーい髪の中がぼんやり見えててさ、ゲームの音が聞こえてきて、そこから出てきたんじゃないのかって言われてんだって」
「…よく知ってますね、見たことあるんですか?」
「いやないけど」
「そうですか……」
「そりゃ俺霊感とかないし …あ、ついた。」
なんだかんだ話してるうちに噂の部室棟についた。そこの部屋の一つ、バレー部の部室前に行く。専門委員会があるからか、いつもざわざわしている部室棟はとても静かだった。
その扉を花巻さんが開ける。
「ちわー… す………?って………え」
花巻さんの言葉と表情が一気に固まる。隣から覗き込んで見てみると… いつものロッカーの一番端の角っ子に体育座りした、髪の長い……
「えっ…… 貞子!?」
「……………………………………え?」
花巻さんの声に答えるようにその髪の長いやつから声が聞こえる。
「…あ、もしかしたら」
そいつに近づいてしゃがみこみ、さらにそこから顔の位置を下げ、
「顔上げてみて?」
という。その髪の長い女はゆっくり顔を上げ……
「……あ、国見…と花巻さん。」
「ただの孤爪じゃねぇか!!!!!!!!!!」
ずっと固まってた花巻さんがようやっと声を上げる。なんだ、この人が一番怖がりなんじゃないのか…?
「え、どうしたの………ていうか、国見、顔近い。」
俺と目が合って五秒くらいで目を逸らした孤爪が言う。
「あ、ごめん 」
「ていうか孤爪。お前髪切らねーの?」
「えっ…………、はい、自分で切れないし………………」
「小学生か!!その髪怖ぇよ!!!!」
花巻さんが予想以上に荒ぶってる。やばい笑えてくる。体が震えてくる。
「えっ…………なんで、ですか?」
「なんでって!お前知らねえのか!?部室棟の貞子って!」
「あ……………知ってます…というか、話してるの聞きました」
「それだよ!お前が貞子だって言われてんの!つまり目立ってるんだよ!!」
「…………え!?」
なんとか笑いを耐えるのに必死だったが、目の前の孤爪の表情の動きように驚き笑いが消える。こんなに驚くんだな…。それに構わず花巻さんは話し続ける。
「おう!ついでに企画まで組まれてるぞ三年のほうでは!」
「えぇっ……!?」
次は驚きを通り越して涙目になってきた。
