第2章 かうんと・つー
「予定、かぁ……」
クリスマスの予定暴露大会に巻き込まれてしまう前に一時退散。
ちょっとお手洗いに行ってくる~と席を外して、盛り上がる暴露会場を後にした。
パタン、と後ろ手にドアを締める。
廊下に出た途端に襲ってきた師走の冷気は底冷えするほど冷たく、ぬっくぬくな部屋で暖まっていた身体を思わずぶるりと震わせた。
足の先は一瞬で熱を奪われひんやりとしている。
寒いなぁ、と思った。
この廊下も、私の予定も。
恋人とは事前通告により予定なし。
家族はそれぞれ恋人、友達と遊ぶーだとか夫婦でお出かけしてくるーだとかでやっぱり予定なし。
友人たちもあの通りすでに先約済みで、だけど今更新たに誰かと都合をつけようとも思わない。
だから、まあ、つまるところ。
私、全力クリスマスぼっち。
よもやクリスマスへの期待値が最高に高まってきらっきらに輝いているあの空間で「私?予定ないけど?」なんて水をさすようなことを言えるはずもなく。
「はぁ……」
思わず、ため息もつきたくなるってものだ。
ドア越しにきゃあきゃあと聞こえるくぐもった彼女たちの声は楽しそうで、見ずとも笑顔なんだろうことが良くわかる。
私もあの中に混じれたら良かったのに。
そう考えても詮無いこと。
これでいいと決めたのは、私だ。
「……よし!」
深く息を吸って吐いて、すっかり冷えた両頬を軽く叩いて陰気な気分を打ち払う。
とりあえず今日は精一杯イブイブパーティーを楽しもう。
クリスマスぼっちなんて気にしている場合じゃない。
どちらかというと、どうやって予定暴露大会を回避しようかを考えなくてはならない。
どうしような、なんて苦笑しながら愉快なカオスへと導くドアノブに手をかけた。