第1章 かうんと・すりー
「クリスマスまで後3日、か……」
ひゅうっと吹きつける寒風に身を縮こませ、我知らずそうひとりごちていた。
とぼとぼと歩く街にはそこかしこにサンタやトナカイのモチーフだとか赤や緑のクリスマスカラーが溢れて視界を賑わせている。
何処からともなく聞こえてくるのはジングルベルの音色。
洋菓子店の店頭ではこの寒い中ミニスカサンタの格好をした店員らしきおねーさんが声を張り上げ客引きをしてのが見え大変だなぁと丸っきり他人事な感想が浮かんだ。
きたる25日。聖夜に向けて、毎夜過ぎる度に世間は浮き足だっていく。
今まさに通りすがったカップルも、クリスマスには何処へ行こうかと楽しげに笑いあい腕を絡ませ足取りも軽く人の波に消えていった。
――浮かれてるなぁ。
歩き続けながらも、賑わう世の中の様子に呆れ半分にそうため息をもらす。そしてもう半分のしんみりと心を埋める羨みを誤魔化すように、歩調を速めて雑踏の中を進んでいった。