第4章 かうんと・ぜろ
「……なんで、うちの前にいたの?」
そう聞いて、ようやく理解した音也は照れたように頬を染めてはにかんだ。
「 言ったよね。メリークリスマスってななしに一番に言いたいなって思ったって。直接会って、言いたいなって」
いや、後半は聞いてないんですが。
心の中で思わずツッコミをいれつつもなんとか声には出さずにのみこむ。
「というか、単純に会いたくなっちゃっただけなんだけど」
だから泊まってるホテル抜け出してきちゃった。
そう言って、音也は更に頬を赤くしながらにっこりと笑った。
それにつられるようにして赤くなってしまった頬を誤魔化すようにココアをすすって、じとりと音也をねめつける。
「だからって、来ちゃうことないでしょ。明後日……いや、明日か。には会えるんだから我慢しなさいよ」
「それができなかった!」
「威張って言うな! ……たく、明日……じゃなくて今日か……も、仕事があるんでしょ? なのに雪が降ってる中こんなとこ来るなんて……風邪でもひいたらどうすんの。ちゃんとホテルで寝てないと」
「ん、それでもさ。会いたかったんだ。ななしに。……迷惑だった?」
「ぐっ……」
そんなこと言われたら、返答に困る。
迷惑だなんてとんでもない。
会えないって言ったくせに結局会いにきてんじゃないかとか、本来休息していなければいけない時になんでこんなとこいるんだとか、雪が降る寒い中うっすら雪をつもらせながら私が気付くの待ってたなんて本当に風邪引いたらどうするんだ、とか色々とまとめて馬鹿かお前は! と言ってしまいたいことがあるのも確かだけど。
……本音を言ってしまえば、ものすごく嬉しいのだ。
音也が来てくれて、会えて、こうして話せていることに。
どうしようもなく気分が高揚している。
なりやまない鼓動。速いままの脈拍。
気付かれるのが気恥ずかしくて少しツンとした態度をとってしまっているけれど、嬉しくて嬉しくて仕方ないと心の奥底が疼いている。