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ブッ飛んでる設定とイケメン達のクソ甘い話

第5章 珈琲*スモーカー


そのとき、お昼の鐘がなる。
あぁ、もうすぐ彼がやって来る。
そう思って椅子から立ち上がり、伸びを一つ。
備え付けのキッチンでお湯を沸かし始めた。



間も無くしてスモーカーが現れる。
どっかりとソファに座る。もう当たり前だった。

「はい、午前中ご苦労様」

「あぁ」

スモーカーの手には紙袋。昼に来る時はいつもは一つなのに、今日は二つ。

「ほら」

一つ渡される。
中にはサンドイッチと、棒付き飴が入っていた。

「‼︎」

「たまには二人ってのもいいだろ?」

「スモーカーとなら、ね。ありがとう」

私はいつも一人で食べている。
というのも、お昼は食堂が人で溢れる。
だから、その混雑の後に向かうのが習慣になっていた。


コーヒーを淹れ、スモーカーの前に置き、ぽすっと隣に座る。
こいつのとなりはやけに落ち着くんだ。

「そういや兵士どもがぼやいてたぞ」

「なんて?」

サンドイッチをもしゃもしゃと食べる。

「お前に指導してもらいてえって」

「指導か…」

ふと、もらった花束に目を移す。

「それいいにきたのかな」

午前中にあったことを話す。


「お前相当好かれてんだな」

「いやいや…何でだろう…組手申し込んで来る人達を片っ端から片付けたことはあるけど…」

「…それじゃねぇのか」

「いやこれで好かれるのか」

「強い女が好みなやつもいるだろ」

「ほぉ〜」

なるへそ、と納得しながら半ばどうでもいいのでお茶と一緒に流し込む。

「お前、今日はアレなのか」

「うん。でも今日は体調いい」

「でも冷やすなよ」

「うん。ありがとう」

彼が心配しているのは、私の生理が重いこと。コーヒーは刺激物なので、そういう日はお茶を飲んでいる。体を冷やすと特にひどくなり、やばい時は一日中ぐったりしてる。

「スモーカー」

「なんだ」

「…なんか名前呼びたくなっただけ」

「そうか」

「うん」

そう言うと、ポン、と頭の上に手が置かれる。撫でられるのは嫌いじゃない。むしろ好きだ。私にとって、心地いい時間。


「五分前になったら起こしてくれ」

葉巻を灰皿で潰し、そう言ってゴロンと横になるスモーカー。

「…膝枕してやるなんて一言も言った覚えはないけどね」

横顔が膝の上に。
この信念の塊のような人の頭を撫でる。


「…はぁ」

私は苦笑した。
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