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恋愛短編集

第8章 髪を切ったら、“知らない恋”に捕まった【美容師】


「今日はお仕事お休みなんですか?」

ありきたりの美容師の言葉。
今日は金曜日。それも午前中。

「まぁ、そんなとこです」

それは嘘。今日は自棄になって仕事をサボった。
会社には体調が悪く外に出られる状況でないと嘘の連絡。日頃、真面目に働いて良かった。
上司の心配そうな声に少し罪悪感が湧いたもののそれは一瞬。また来週からしっかりと仕事をこなせば済む話だ。


付き合っていたはずの彼の部屋に行ったのは昨日の事。驚かせようとアポイントメントを取らずに向かった。まさかドラマや漫画ではあるまいし、こんなところで浮気を発見してしまうなんて思ってもいなかった。自分が立ち入った痕跡を消し、バレないように逃げ帰ったのは言うまでもない。

それでも、家に帰るとなんだか虚しくなってきて、別れる、のひと言だけメッセージを送ってしまった。

そんなわけで私は傷心中。
仕事なんか行ってられない。

これは言い訳に過ぎないのかもしれない。

正直その浮気者の彼には飽きてきたとこだった。
ツマラナイ過去の武勇伝、努力が見えない夢の話、他人を卑下する態度に、独り善がりの行為。はじめはいいなと言う部分をいっぱい見付けていた筈なのに最近は嫌なとこばかり探してしまう。

私はそんなことを思い出しながら美容師の天気の話や映画の話に相槌を打っていたが、面倒そうに話すのが伝わったのだろう。それ以降美容師は話し掛けてこなかった。
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